中学生の質問:「原発の廃棄物は、今の大人がずっと世話をするんですか?」

1997年にガンで逝去された平井憲夫さん(原発現場で現場監督として働かれた配管の専門家)が、北海道の中学生から次のような質問をされたと書き残しておられます。

「・・・・・私が5年程前に、北海道で話をしていた時、「放射能のゴミを50年、300年監視続ける」と言ったら、中学生の女の子が、手を挙げて、「お聞きしていいですか。今、廃棄物を50年、300年監視するといいましたが、今の大人がするんですか? そうじゃないでしょう。次の私たちの世代、また、その次の世代がするんじゃないんですか。だけど、私たちはいやだ」と叫ぶように言いました。この子に返事の出来る大人はいますか。


こうやって考えていくと、今の原発に関する教育では、子どもたちにはなんの真実も伝えていませんね。電気の恩恵や安全教育といった形だけで、原発の基本的な問題をひたすらに隠していますね。そして膨大なお金をかけて、電力会社や政府が広報を行ったり、原発施設に電力会社の経費で招いたり、マスコミを通じて原発の安全性を広報してきています。こうしたことが功を奏して、福島原発の事故にしても、現在の小・中・高校などで、現場の教師がどれだけ事実を伝えていることでしょうか?

目隠しされた子どもたちは、21世紀という時代を見渡すことはできません。




平井さんの「原発がどんなものか知ってほしい」より抜粋

「閉鎖」して、監視・管理

 なぜ、原発は廃炉や解体ができないのでしょうか。それは、原発は水と蒸気で運転されているものなので、運転を止めてそのままに放置しておくと、すぐサビが来てボロボロになって、穴が開いて放射能が漏れてくるからです。原発は核燃料を入れて一回でも運転すると、放射能だらけになって、止めたままにしておくことも、廃炉、解体することもできないものになってしまうのです。

 先進各国で、閉鎖した原発は数多くあります。廃炉、解体ができないので、みんな「閉鎖」なんです。閉鎖とは発電を止めて、核燃料を取り出しておくことですが、ここからが大変です。

 放射能まみれになってしまった原発は、発電している時と同じように、水を入れて動かし続けなければなりません。水の圧力で配管が薄くなったり、部品の具合が悪くなったりしますから、定検もしてそういう所の補修をし、放射能が外に漏れださないようにしなければなりません。放射能が無くなるまで、発電しているときと同じように監視し、管理をし続けなければならないのです。 

 今、運転中が五一、建設中が三、全部で五四の原発が日本列島を取り巻いています。これ以上運転を続けると、余りにも危険な原発もいくつかあります。この他に大学や会社の研究用の原子炉もありますから、日本には今、小さいのは一〇〇キロワット、大きいのは一三五万キロワット、大小合わせて七六もの原子炉があることになります。

 しかし、日本の電力会社が、電気を作らない、金儲けにならない閉鎖した原発を本気で監視し続けるか大変疑問です。それなのに、さらに、新規立地や増設を行おうとしています。その中には、東海地震のことで心配な浜岡に五機目の増設をしようとしていたり、福島ではサッカー場と引換えにした増設もあります。新設では新潟の巻町や三重の芦浜、山口の上関、石川の珠洲、青森の大間や東通などいくつもあります。それで、二〇一〇年には七〇~八〇基にしようと。実際、言葉は悪いですが、この国は狂っているとしか思えません。

 これから先、必ずやってくる原発の閉鎖、これは本当に大変深刻な問題です。近い将来、閉鎖された原発が日本国中いたるところに出現する。これは不安というより、不気味です。ゾーとするのは、私だけでしょうか。

どうしようもない放射性廃棄物

 それから、原発を運転すると必ず出る核のゴミ、毎日、出ています。低レベル放射性廃棄物、名前は低レベルですが、中にはこのドラム缶の側に五時間もいたら、致死量の被曝をするようなものもあります。そんなものが全国の原発で約八〇万本以上溜まっています。

 日本が原発を始めてから一九六九年までは、どこの原発でも核のゴミはドラム缶に詰めて、近くの海に捨てていました。その頃はそれが当たり前だったのです。私が茨城県の東海原発にいた時、業者はドラム缶をトラックで運んでから、船に乗せて、千葉の沖に捨てに行っていました。 しかし、私が原発はちょっとおかしいぞと思ったのは、このことからでした。海に捨てたドラム缶は一年も経つと腐ってしまうのに、中の放射性のゴミはどうなるのだろうか、魚はどうなるのだろうかと思ったのがはじめでした。

 現在は原発のゴミは、青森の六ケ所村へ持って行っています。全部で三百万本のドラム缶をこれから三百年間管理すると言っていますが、一体、三百年ももつドラム缶があるのか、廃棄物業者が三百年間も続くのかどうか。どうなりますか。

 もう一つの高レベル廃棄物、これは使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出した後に残った放射性廃棄物です。日本はイギリスとフランスの会社に再処理を頼んでいます。去年(一九九五年)フランスから、二八本の高レベル廃棄物として返ってきました。これはどろどろの高レベル廃棄物をガラスと一緒に固めて、金属容器に入れたものです。この容器の側に二分間いると死んでしまうほどの放射線を出すそうですが、これを一時的に青森県の六ケ所村に置いて、三〇年から五〇年間くらい冷やし続け、その後、どこか他の場所に持って行って、地中深く埋める予定だといっていますが、予定地は全く決まっていません。余所の国でも計画だけはあっても、実際にこの高レベル廃棄物を処分した国はありません。みんな困っています。

 原発自体についても、国は止めてから五年か十年間、密閉管理してから、粉々にくだいてドラム缶に入れて、原発の敷地内に埋めるなどとのんきなことを言っていますが、それでも一基で数万トンくらいの放射能まみれの廃材が出るんですよ。生活のゴミでさえ、捨てる所がないのに、一体どうしようというんでしょうか。とにかく日本中が核のゴミだらけになる事は目に見えています。早くなんとかしないといけないんじゃないでしょうか。それには一日も早く、原発を止めるしかなんですよ。

 私が五年程前に、北海道で話をしていた時、「放射能のゴミを五〇年、三百年監視続ける」と言ったら、中学生の女の子が、手を挙げて、「お聞きしていいですか。今、廃棄物を五〇年、三百年監視するといいましたが、今の大人がするんですか? そうじゃないでしょう。次の私たちの世代、また、その次の世代がするんじゃないんですか。だけど、私たちはいやだ」と叫ぶように言いました。この子に返事の出来る大人はいますか。

 それに、五〇年とか三百年とかいうと、それだけ経てばいいんだというふうに聞こえますが、そうじゃありません。原発が動いている限り、終わりのない永遠の五〇年であり、三百年だということです。

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この記事へのコメント

ちいさきもの
2011年04月27日 01:50
先日、上関原発白紙のための運動に賛同し、平井憲夫三氏の「原発がどんなものか知ってほしい」というページを見つけてプリントアウトして15枚を綴じました。それから注文していた「大亀ガウディの海」を読み、心に深く感じるところがあって、作者に関心を持ち、何気なくブログを開くと平井氏の言葉がアップされていて偶然に驚いています。明日、県庁前で未来につながる命を育てる会に参加出来たら、微力ながらお二方を紹介させ頂こうと思います。素晴らしいメッセージをありがとうございます。
自然の声
2011年04月27日 11:52
心のこもったコメントありがとうございます。平井憲夫さんは、生前にはいろいろの批判や中傷を受けながらも、とてもいい仕事をしておられますね。私もとても感激しながら「原発がどんなものか知ってほしい」という記事を読ませていただきました。それから「大亀のガウディの海」を読まれたとのことーどのようなものでもいいですから、ぜひご感想をお聞きしたいです。この物語の続編を書こうと、現在考えていますので、ご感想をいただけたらとても嬉しいです。本当に役にたちます。よろしくお願いします。感謝をこめて(大亀の作者より)
ちいさきもの
2011年04月27日 20:44
海響館の白イルカのひびき君から、ガウディと同じひどい孤独と怒り、あきらめのような強い思いを受け止めた事がありました。人が被造物の頂点だという傲慢を、生き物たちが愚かだと認識しているガウディのお話は、作りごとではありません。そうして、また、放射能汚染の海で生きる他ないガウディは、私自身に思えました。私達は死ぬ命をつかの間あたえられている同じ仲間同士であり・・そして希望がない状態となっても愛しあい、慎ましく平和を祈り、生き抜き、果ててゆく道があると示された気がします。今日は県庁へ上関原発白紙撤回の申し入れに参加したのですが、原発への母親の憤りが、抱いている幼子に不安を与えまいかと案じられました。ガウディのような男の方が少ないですね。義を見て為さざるは勇無きなり、と父性の目覚めを祈ります。長文になってすみません。どうぞご自愛下さり、神様に用いられなさいますように。

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