田島伸二のブログ-Tajima Shinji

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zoom RSS 日本のODA(政府開発援助)は、途上国の基礎教育や識字教育にさらに重点的に使われるべき

<<   作成日時 : 2014/05/07 04:24   >>

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2001年から2007年まで6年間にわたって、私はミャンマーのヤンゴンで、基礎教育改善計画に教育アドバイザーで参加しました。これは実質的には、ミャンマーにおける民主化を促進するプロジェクトを意味しており、大きな影響を教育省や教育大学の教員養成にもたらしたようです。これはある日の北方のタウンジで、参加教員が120名のワークショップの様子です。

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「ミンガラバー。こんにちわ。今日はみなさんは、一昨日、お願いしたように、近所に生えている自然の豊かなシャン州の薬草やハーブを、実際の薬草とともにたくさんの知識や情報も持ってきたと思います。それらの知識はあなたの両親や祖父母などが代々持っていたものですね。でも両親や祖父母たちは、彼らの両親や祖父母から代々言い伝えで聞いてきており、そうやって考えていくと、こうした知識はシャン州では何百年も前から伝わってきたとも言える貴重な口承伝承なのです。これは生活や人生の智慧がいっぱい詰まっているのです。ですから文字に印刷された本だけでは、その社会の価値はわかりません。」と話を始めたのです。


そして、「私はあるとき、パキスタンの山岳地域で、3千もの言い伝えを知っている老人の語り部に会ったことがあります。彼は「このごろ若いものは、誰も私のしゃべることに耳を傾けてくれない。」と嘆いていました。「みんなテレビに熱中して、若い者は話を聞いてくれないんだ」と、いうのです。よく考えて下さい。もし語り手の彼が亡くなってしまうと、なんと3千にものぼる貴重な話や体験がこの地上から消えてしまうのです。確かにテレビはおもしろくて刺激がありますが、何百年も代々伝えられてきたそれぞれの口承伝承は、テレビでは表現できないぐらい大切な人間の生活体験を伝えているのです。今日は、そうしたミャンマーの口承伝承をどのように生かしていくかという授業を行いましょう。ミャンマーには、135の民族が住んで言われています。これは実に貴重な口承伝承がたくさん残っていることを意味しています。そのためには、まず身近な家族の中のおじいちゃやおばあちゃん、そして両親や近所の物知りの人の薬草体験に耳を傾けましょう!彼らも若い人に話をすることによって生き甲斐を感じますから。

教育というのは、さまざまな世代と深いコミュニケーションを作ることなのです。学びの場は学校の場だけでなく、家庭にもコミュ二ティにも存在しているのです。これらの授業は、簡単にあなたたちの学校のクラスでいくらでもできます。4学年、5学年の子どもたちはいくらでもそれをできる能力をもっています。シャン州の豊かな山々に生えているさまざまな薬草は、医学の発達した現代、実に貴重なものです。現代医学でも治らないような病気でも治癒させる働きをもっているものがたくさんあります。口承伝承をきちんと記録しながら再生していくこと、自然のなかから伝統的な薬を見つけ出すことーそれは21世紀の科学(サイエンス)の課題でもあるわけです。」とそのようなことを語った。みんな深くうなずきながら静かに聞いている。

そして続けた。「これは、「薬草の話」だけでなく、ほかのさまざまなテーマでも同じように語りを集めて、みんなで本を作って、皆でこれを利用することもできます。ところで、本というのはいったいなんでしょう?本には表紙という顔や、内容のわかる目次やページなどがありますね。それをきちんとつけてくださいね。そして最後のページには必ず、グループ名と参加者全員の名前を記して下さいね。それは大切な記録になります。これを写真にとってCDで残してみんなにもいきわたる様に努力してみます。これはみんなにとっても貴重な自然のリーソースなのです。そしてみんなの協力で作り出した本を教室で実際に使うのです。」


ミャンマーには、こうした授業などは全く存在しないだけにまず今回は(1. 薬草の名前、2.薬草が採集された場所、3.薬草の作り方や効能、4.その効能や体験したことをどのようなソース(父や近所の物知り、あるいは本から)から得たか、あるいはその薬草で助かったような体験記など)をそれぞれの参加者が持ち寄ったものだったが、薬草はものすごい量と多様なシャン州のハーブを参加者が持ち寄り、それぞれグループで吟味しながら熱っぽい議論が始まった。みんな発奮してものすごい勢いで薬草の本作りにとりかかった。


そのとき通訳の女性と一緒に、一人の年配の教師がいかにも低姿勢でヒヤシンスのような植物をもって私のところへやってきた。そして私に向かってミャンマー語でなにかをしゃべった後、球根のついた植物を私に差し出した。私はなんのことかわからないので女性の通訳に「どういうことでしょうか?」と聞くとと「この教師は、あなたにこの球根を差し上げたいと言っています。「・・・・この球根を半分に切って、その汁を頭につけてください。するとあなたの髪の毛が1本1本元気にはえ始めくるそうです。実証済みだそうですから・・・どうぞ。」とのこと。
「ハハハハハハ」・・・・この教師は、私の薄くなった禿げ頭を気遣ってくれたのだ。大笑いもいいところ。そこで早速、私は、それを目前で半分に切って、頭にこすり付けてみた、するとなんとなく毛髪が生えてくような気がするから、シャン州での「薬草の本」作りのセッションはなんとも言えずおもしろい。通訳も交えてみんなで大笑いしながら、ひそかに「ひょっとしたら本当に生えてくるかもしれないね。なにせミャンマーのシャン州の山奥から採集したものだから・・・」と期待しながら頭に手をやって大笑したワークショップであった。

この「薬草の本」作りのワークショップは、ミャンマーシャン州では初めての試みで、あったが、教師対象に実にユニークな授業となった。これは民間に伝わっている実に膨大な体験を集めていくことを意味している。要は彼らが自信をもっている事項から、子どもの体験、欲求、想像力を元にした教育方法)から始めることなのだ。みんなA4用紙に薬草などをセロテープなどを使って次々と貼り付けていく。そしてさまざまな薬草本が次々と誕生していく。その嬉しそうな表情には驚かされる。


その感動を彼らは、自分の学校に帰ったときに生徒を対象に必ず行うに違いない。教師自身が感動すると、必ず自分の学校でも実践してみたくなるからだ。要は授業の中に教師と生徒の感動をどうやってつくっていくかということなのだ。いつもワークショップはこのような微笑ましい形で進み、全体会ではそれぞれのグループが自信満々で、14種類の手作り薬草本を完成させて、表情豊かなグループ報告を行った。これが軍政下のミャンマーで行われていた授業のひとつであったが、このような授業が。軍政下で100コマ近く展開されていったのです。厳しい政治の冬も終わって「ミャンマーの春」が近いことを確信した2006年のことでした。


日本のODA政策(政府開発援助)が、これまで行ってきた協力援助と大きく異なって、利用拡大されそうな現在、途上国での基礎教育や識字教育などに向けて、さらなる充実を求める必要性を痛感してこの報告を行ったものです。


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