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zoom RSS 創作活動と識字教育のこれから

<<   作成日時 : 2012/05/07 14:48   >>

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創作活動と識字教育は、相互に最も深く結びついていかなければいけないと思っています。21世紀はだれでも変化に対応する生き方を「知」のレベルでやっていかないと生き残れないように思うのですが、文字で表現できる世界と(文字で表現できない世界も)人間的に生きようとする哲学が、本質的な結びつきを持って、初めて識字教育が普遍的で人間的なものになっていくように思います。

識字教育は、ただ技術的な読み書き計算能力の修練ではなく、読み書きの表現内容や人間の生き方をどのように結びつけるか、そのとき創作活動などが非常に重要な意味と可能性をもってくるように思います。トルストイの物語に「ひとにはどれだけの土地が必要か?」というのがありますが、「ひとにはどのような知識や情報が必要か、そしてそれはなんのために?」と思うのです。人は精神的・物質的空間をどれだけ豊かに持っているかということで、その生き方の豊かさが決まってくると思うのですが、そこには本当の知というものをどのように共有しなければならないかという深刻な課題があるように思います。



現代のように変化が烈しく深刻な問題が方々で起きているというのは、きちんと普遍的な「知」の意味が共有されていないからだと思いますね。最高学府をでて、2言語も3言語もしゃべれて情報化社会の尖兵のようなエリートはたくさんいます。しかし彼らの目標としていうものが、自己の利害のみで人間性に反しているような活動をやっていることが多々あります。識字の問題も実を言うと、それは文字の読み書きのできない非識字者のせいではなくて、権力をもった識字者がこうした体制を作り出したことに起因しているんですね。



しかし全世界には文字が持っている意味、記号が持っている意味さえわからない人たちがたくさんいます。世界人口の三分の一以上がそうだと思います。一握りの人は天文学的な技術や情報や知識をもってどんどん肥大化するかと思えば、他の人々は文字どころか電気すらまったく知らないが存在しているわけです。この格差がますます大きくなっているわけですが、文字を覚え、文字を使って、記録したり、思考したり、考えを積み上げていく基礎教育や初等教育というのは時間やお金がかかりますが、それだけに実に重要な社会の土台になるようなところだと思います。
現代は、一見豊かそうですが、実に非情な時代で、文明が徹底的に追い詰められ、行き着くところのないようなところに差し掛かっているのです。そのひとつが原爆と原発ですが、この核文明も行き止まりにぶつかっています。しかも解決できなくて四苦八苦しています。また遺伝子の組み換えやコンピューター社会が直面している深刻な課題など、川の流れで言えば、大海に到着するまえに巨大な瀑布に差し掛かっており、箱舟に乗ってみんな目の色を変えて右往左往しているという気がするんです。このままいくとこの箱舟は必ず瀑布の中へ落ちていく。しかしだれがそれを知っているのか?それをどうやって誰が回避するのか? 結局はそれが最大の課題ですね。

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それには、特に次世代である子どもたちにどういうように現在の深刻な状況を伝えるか、それはどのように子どもたちの将来をどのように想像豊かに描ける能力を育てることができるかで決まってくると思うのです。つまり現代の子どもたちには、21世紀に人類が直面している最も深刻なリアリティをきちんと伝えていく教育の必要性があるということです。それがリテラシー(識字)の最も大きな課題です。そしてその核心とは、ヒューマンリテラシーの哲学だと考えています。大人も子どもたちと一緒に、夢や理想を育むようなアイデアやシステムを一緒に作っていく。もし大人にできないときには次世代が、破局を回避できるようにリテラシーが働いていかないといけないと思うのです。


私はこれまでそう考えてきましたので、どこの国でもだれにでも通用するような寓話という手法を使って童話や物語を書きたいと思っていたのです。広島で生まれましたので、もちろん原爆のことや原発廃棄物の物語も多数書きました。「大亀ガウディの海」という作品では、世界中の海がエネルギーを取り出したあとの「核」のゴミ捨場になっていっていくということなど。そうです。

人類を生み出した海は、今ものすごいスピードで破壊されていっていますね。それを海亀の目から書いてみたのです。海は「生命の母」とよく言いますね。物語の中の巨大クラゲの異常発生は、30年前に想像で書いていたのですが、今、現実の問題として出てきていますね。現代は、これまでの歴史上、経験したことのないような深刻な状況が、自然世界でも人間関係でもあらゆる方面に見え隠れしていて、こうした内容をどう伝えて共有していくか、文学が持っている可能性をこの状況の中でどのように追求していくか。子どもは大人のような実際経験はないかわりに、感性は実に柔らかく鋭いですから、大人以上に想像力をもって悩み苦しんでいるわけですからね。

子どもだから、未来に向けての夢やファンタジーを与えておけばいいというんじゃなくて、やはり子どもたちと同じく不安で揺れる感性の目線で子どもたちと真剣に対話したい。そう思っていろいろの寓話を書いたのです。しかし日本では、ほとんど注目されなかったのですね(笑)。しかし幸いなことにアジア各国では、15言語に翻訳されました。イランやミャンマーでも翻訳本が出版されていますが、この本の紹介記事を書いたミャンマーの新聞記者は、「原発の廃棄物がこんなに長期間、放射能汚染するとは全く知らなかった。私たちはエネルギーを作り出すことばかりに気をとられている。」と言い、ミャンマーでこれから始まろうとしているロシアの協力による原発プロジェクトについていろいろと語ってくれました。
    
1982年当時、中国では約2割ぐらいの人が読み書きできないということを知りました。つまり中国には2億人以上の非識字者がいたわけですね。少数民族の人々や貧農の人々が大部分をしめているようですが、文字や言語は民族の生きる証ともいえるものですが、世界中には、単一の国語だけを推進して、少数民族の文字を使うのを禁止している国も多数存在しています。

そしてどこからどこまでが「識字者―文字の読み書きのできる人」に入るのか、難しいんです。ABCだけを知っていても、自分の名前が書けない人もいるし、またいくらか書けたらいろいろのことがわかるのかといっても、実際は地方の新聞ぐらいは読めないと本当に必要なことはわからないわけですからね。形として文字を知っていても、それを実際に日常生活の中で使えるぐらい機能的にやれないと、役にたたない。文字を身につけるには誰にも相当の時間がかかる。

そうした初等教育や基礎教育の重要性を無視して現代世界は金儲け教育に走っている。これは悲劇です。一つの路線からはじき出された人々というのは今の状況の中で視界から消え、無視され、伝えられなくなっている。近づくことができないぐらいの知の殿堂へと全体が進んでいる中で、自分たちはどうやっても追いつけないという。ここに最大の亀裂が走っているような気がするんです。

そして大きな問題は、文字の読み書きができればそれでいいのか、文字の読み書きの方向性はどこを向いているのかということです。ブッシュ大統領などのようにアメリカの一流の大学を出て、最高権力をもち、ありとあらゆる知識や情報に手が届くのかも知れないが、彼の「読み書き」の方向とはいったいどこに向かっているのか、どこの方向に向かって知識や情報を使っているのか。それは果たして正しい世界を求めているのか?人は、読み書きできる能力と同時に、その内容が本当に豊かな人間性とか、より人間や社会を進化させ、個々人が自覚しながら成長できるような知識とか技術になっているかどうか、このような機能も含めて「リテラシー」というものを考えていきたいと思っています。

情報化時代における人間の生きかたや倫理というか、そのようなものが要るのではないかということで、それを「ヒューマン・リテラシー」と名付けたのです。ネットにはヒューマン・リテラシーについてあれこれ掲載されていますが、知識や情報を私利私欲のためには使わないという生き方・・・それは学校を出てドクター号をたくさん持っているけれども、結局は自分の利益だけを追い求める生き方のありかたなど、自他の生きる姿勢を批判できうる能力の形成が非常に重要ではないかと・・それが子どものときから最も要請されている教育ではないかと思うのです。リテラシーとは通常、文字の読み・書き・計算ができるという能力を意味しますが、それを日常性のなかで使える能力、さらにはもっと社会の中で機能的に使い、たくさんの情報や物事でも批判的に把握できるという力が必要になってくる。


しかし、さらに、宗教や民族などで分断化されお互いが憎みあい戦っているときに、人間がどうやって連帯し、どうやって幸福を共同で創造する方向にもっていけるか、それを考えないと、21世紀の本質的なリテラシーは役にたたないと思うんです。

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2012/05/07 15:00

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